1. ホーム
  2. NEWS
  3. 台北日本人学校におけるインターンシップ実習報告会-さまざまな背景を持つ子どもたちの理解に向け、教育学部が実施

台北日本人学校におけるインターンシップ実習報告会
-さまざまな背景を持つ子どもたちの理解に向け、教育学部が実施

 外国人労働者の増加などに伴い海外にルーツを持つ児童生徒が増えており、学校現場ではさまざまな背景を持つ子どもたちや保護者を理解し、対応する力の重要性が高まっています。そこで教育学部は、教員の国際感覚をはぐくむことを目的に、初めて海外の日本人学校でのインターンシップを行いました。実習報告会が3月10日に開かれ、インターンシップに参加した学生がそれぞれの経験を語りました。

インターンシップに参加した学生の写真

 インターンシップは、2月17日から同21日にかけて行いました。教育学部として初の試みということで、今回は言葉や文化の壁が比較的薄く、また英語も通じやすい台湾の「台北日本人学校」にご協力いただくこととなりました。台北日本人学校は小学部、中学部で構成され、計約750人が通う大規模校です。

 参加したのは教育学部2年から教職大学院1年の6人。それぞれ「日本と異なる環境で生活していた子どもとの関わり方を知りたい」「将来日本人学校で働きたい」など、さまざまな動機から挑戦しました。取り組みには、定員を大きく上回る17人の応募がありました。

 インターンシップでは、6人がそれぞれ別の教員に師事し、授業などのサポートを行いました。宿題の丸付けや日誌のチェック、朝の会?帰りの会の担当から始まり、最終的には授業も任されました。学校教育教員養成課程教科教育コース国語選修2年の松木優杏さんは、小学5年の国語の授業を4コマ行いました。その中で、「話し言葉としての日本語が上手な児童でも、物語の読解などをする"国語"としての日本語に難しさを感じていることがわかりました」。個々人に合わせた配慮をしつつ、「小説を読めなくても生きていけますが、日常で目にする説明書きやニュースは読めるよう、手助けできたらいいなと考えています」と児童とのより良い関わり方を具体的にイメージしていました。

PXL_20250221_014601837.MP.jpg 丸付けをする国語選修2年の横井月野さん

 日本とは異なる環境に身を置くことで、新たな視点を得た学生もいました。
 台北日本人学校には技術科専門の教員がいません。学校教育教員養成課程教科教育コース技術選修3年の河原康星さんは、ノコギリの刃が欠けたままになっていたり、固定すべき工作機械が固定されていなかったりすることが気になったようです。「人口減少により、子どもはもちろん教員の数も減っていく中で、日本の学校でも同じ問題が起こると思います。安全管理をどうしていくのか、卒論のテーマとしたいです」と話しました。
 教職大学院1年で保健体育を専門とする中村優輝さんは、日本の子どもたちと比べ運動能力に差があるように感じたそうです。原因として、日本における部活にあたる「課活」が保護者中心の活動であることや、給食がなく子どもによっては毎日ハンバーガーを食べているなど栄養面の偏りがあることが挙げられるのでは、と考察します。「運動能力に環境や生活環境が大きく影響すると感じました」。

PXL_20250221_003842005.MP.jpg 授業する養護教諭養成課程3年の岡本佳子さん

 参加した皆さんは、「子どもたちの温かく迎え入れてくれる姿勢に感動した」と声を揃えます。台北日本人学校では、家族の転勤などに伴う転入出で、1年に300人ほど児童生徒が入れ替わるそうです。学校教育教員養成課程教育実践科学コース4年の野口佳愛さんは、「みんな転校の経験がある中で、自分が転入した時に優しくしてもらったから、という思いがあるのだと思います。4月から教員生活が始まりますが、自分が担当するクラスでも、親しみやすい環境を作っていきたいです」と決意を新たにしていました。


インターンシップに参加した学生たちの集合写真

(取材?構成:茨城大学広報?アウトリーチ支援室)